2006年 10月 15日
ひぐらしのなく頃に 皆殺し編
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今更ではありますが、終了いたしました。
以下はその感想ですが、ネタバレがあると思いますので、未プレイの方はご注意下さい。
一言で申しますと、面白いです。それも、かなり。
このシリーズの最初の方は、荒削りな文章という印象があったのですが、私の記憶違いなのか、もしくはライター氏が腕を上げられたのか、この“皆殺し編”は緻密な印象さえ抱かせます。
シナリオ自体はともかくとして、物語の構成は非常によくできており、読者を楽しませるに十分な質を持っています。
何より、物語の展開が私好みというのが大きいです。
期待させるだけさせて、最後の最後で突き落とすという展開は、本エピソードのサブタイトルを一目見れば十分に推察できる事ですが、警戒しつつもやはり期待はしてしまいます。
伸るか反るかの境界線ぎりぎりを推移しつつ、ここぞという絶好の場面で一気に突き落とす“皆殺し編”の構成は、極めて秀逸であり、かつ私好みなのです。
音楽の使い方も非常に上手いです。
終盤のあの場面で「you」を持ってくるのは反則だと思うのです。そのアレンジーバージョンも含めて、使い方が絶妙です。
総合的に見て、良質かつ面白いノベルゲームである事は疑う余地もないこの“皆殺し編”ですが、少しばかり気に掛かる事もあります。
「女王」に関してなのですが、「1人に対し1匹」であるならともかく、恐らくは「1人に対し多数」であると思われるのに、多くの人々に宿ったうちのたまたま1人だけがそれというのはあり得る事なのでしょうか。
蟻の巣に例えるとわかりやすいかもしれません。
蟻の巣は、種類によっても違うのかもしれませんが、基本的に1つの巣には女王は1匹です。10の巣があった場合、うち9つは働き蟻だけの巣で、残りの1つが女王だけの住む巣、などという事はなく、そのそれぞれに1匹ずつの女王がいるという事になります。
空気感染、及び経皮感染するという特徴から、およそ肉眼で確認できる大きさではないと推測され、であるなら1個体に1匹だけと考えるのは少々無理があるように思えます。つまり1個体に多数宿ると考えるのが妥当であり、そうであるならそのうちの1個体だけに女王が宿るというのは、どうにも無理があるように思えてならないのです。
第一、女王の宿主1人が死ねば即全滅というのは、ひとつの種としてあまりに脆弱に過ぎます。欠陥種と断じてもいいくらいです。それが数百年の時をながらえた事自体が、奇跡とさえ言えると思います。
実際にはあり得ることなのかもしれませんが、そうであるなら具体例を平行して1つ挙げておく事で、私のように疑問を抱くプレイヤーに対し、理解を促す事ができたと思います。
ともあれ、その件でこうしてつまづかされてしまったのは、物語を純粋に楽しむという意味で、一抹の弊害となってしまいました。残念なポイントだったと申せましょう。
ですが、それを差し引いたとしても、100点満点中の90点は固いです。
これの文章には、そういった細かい事を考えさせず、一気に読ませるだけの力があります。
さて、残るは最後の1つ、「祭囃し編」のみです。
皆殺し編終盤でついに正体を明かした真の黒幕に対し、どのように戦い、どのように決着をつけるのか。すべてはそこで語られる事になります。
正直に申しまして、終わらせてしまうのが惜しいです。こういう感覚を味わうのも、久し振りな気がいたします。
by kidar
| 2006-10-15 09:00
| 一般ゲーム