2007年 02月 27日
ライトノベル近況 2/27
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現在未読なのは、「クジラのソラ02」、「戦う司書と神の石剣」、「BLACK BLOOD BROTHERS 2」、「されど罪人は竜と踊る3 災厄の一日」、「ボクのセカイをまもるヒトex」、「“文学少女”と飢え渇く幽霊」、「“文学少女”と繋がれた愚者」の、計7冊です。少し減って、また少し増えました。
読了しているのは、「ぼくと魔女式アポカリプス2」、「フェイト/ゼロ」、「抗いし者たちの系譜 再始の女王」、「狼と香辛料4」、「化物語 上・下巻」、「“文学少女”と死にたがりの道化」の、これまた計7冊です。以下に雑感を、簡潔にですが書いておこうと思います。
・ぼくと魔女式アポカリプス2
第1巻の時点で、個性の強いキャラクターが集っていた本シリーズですが、この第2巻では、更に強烈な個性を持つキャラクターが登場する事となります。
主人公へ、挨拶代わりに全力ドロップキック、しかも頭部へのそれを放ち、奇妙な一人称を使い、おかしな言葉遣いをし、自らを「正義の味方」と称する蘭乱爛崎寝々(らんらんらんざきねね)こそがその人であり、同時に第2巻において重要な意味を持つキャラクターでもあります。
物語の方は、第1巻に引き続いての救いのなさですが、第1巻を読んでなお第2巻を手に取ろうと思ったような方なら、むしろお気に召すのではないでしょうか。キャラクターを好きになれれば、文句なしに楽しめる秀作に仕上がっていると思います。
・フェイト/ゼロ
思っていたほどではありませんでした。
と申しますのも、私も含めた多くのTYPE-MOONファンが、「Fate」の名を冠する作品に求めるものは、熱くたぎるような『燃え』であると思うのですが、本著にはそれが思っていたほど含まれていなかったのです。それゆえ、肩透かしを喰ってしまったような印象がありました。
キャラクターや舞台設定についてなどの説明にページの大半を割いており、『燃え』に直結する戦闘シーンなどが、必然的に少なくなっています。ただ、それ自体はシリーズの第1巻という事もありますので、悪いと言い切る事はできません。
この第1巻だけですと、微妙という評価を下さざるを得ませんが、シリーズを通しての評価は、当然ながら現時点では不可能です。つまるところ、続巻に期待という事になる訳ですが、本シリーズは全4巻を予定しており、第3巻の分までは既に書き上げられているそうです。第2巻は3月の発売を予定しているそうですので、近いうちに手にする事ができるものと思われます。
・抗いし者たちの系譜 再始の女王
これにてひとまず完結となるようです。
しかし、少々急き過ぎた感が否めません。そのせいで、終わり方に少しばかりの不自然さを覚えてしまいました。
この世界の物語を、もっとじっくり楽しみたかったという事もあって、これで終わりというのは物足りない感じです。いつの日にか、更なる続編が書き綴られるよう願っています。
・狼と香辛料4
こちらも、別の意味で物足りなさを感じました。
さすがに第4巻ともなりますと、同じような物語の展開には飽きがきますようで、また終盤の展開にもこれまで以上に無理があるように感じられて、正直に申しまして、あまり面白いとは思えませんでした。
問題点となっているのは、ホロとロレンスの関係性が変わらなさ過ぎる事だと思います。2人の距離は、お互いの性格、性質などがうまく絡み合う事で絶妙なものとなっているのですが、第1巻の頃からそれが大して前後していないため、本シリーズ最大の見所である2人の掛け合いが、言うなればパターン化してしまっているのです。私が面白いと感じられなかったのは、そのあたりが原因となっているように思います。
次巻も恐らく買うと思いますので、そこでの巻き返しを期待したいところです。
・化物語 上/下巻
ボケに対するツッコミ役として天性の力量を持つ主人公が、強力なボケをマシンガンのごとく放ちまくるゲストキャラクター達と、互いの尊厳と誇りを賭けた、本気の口先バトルを繰り広げるお話です。ゲストキャラクター達は、古今東西のあらゆる物事をネタにし、思いもかけない角度からのボケを放ってきます。対する主人公には、あらゆる事象に広く深く通じた見識、知識、視野の広さが要求されます。あまりに不利なその戦いを、果たして主人公は征する事ができるのでしょうか。
というようなお話では勿論なく、と言いたいところですが、あながち間違ってもいないあたりが本作品の凄いところです。物語の内容は、タイトル通りの「化け物語り」であり、妖怪や幽霊などといった「怪異」に触れてしまった人々のお話なのですが、そうした本筋と言えるであろう部分よりも、主人公とヒロイン達の掛け合いの方に比重が傾けられているように感じられ、またそちらの方が面白かったりもします。
全体を通して見てもレベルの高い作品ですが、語って欲しかったところが語られずじまいに終わっているのは残念でした。続巻が書かれる事も恐らくはないでしょうし、この点だけはどうにも惜しいと言わざるを得ません。
・“文学少女”と死にたがりの道化
予想外と言っては失礼ですが、思っていたよりずっと楽しめました。
物語の構成が非常に上手く、上げて落としてのペースとバランスが絶妙で、最初から最後までだれる事なく一気に読み切ってしまいました。
お陰で寝不足に陥ってしまったのはともかく、本作はミステリーの要素を幾分か含んでおり、私はミステリーを苦手としているのですが、にもかかわらず、それをまったく気にせず読む事ができました。思うに、ミステリーの要素がエッセンス程度に抑えられているという事と、楽しむ上で謎を意識する必要が殆ど無かった事が、気にならなかった理由ではないでしょうか。
余談と申しますか、完全なる蛇足ですが、本作には非常に優秀なツンデレが登場しています。本著の時点では、デレの部分は殆ど表出しておらず、比率で言えば「ツン9.8:デレ0.2」といった風なのですが、これはまさしくツンデレの黄金比に迫るものであり、ツンデレのエネルギー量は、極めて強いツンがデレに転じた瞬間にこそ最大を記録するという事実もありますゆえに、続巻でどのようになっているのか、楽しみで仕方がありません。
それだけが理由では勿論ありませんが、現在発売されている第2、第3巻も既に購入済みだったりします。早いうちに読んでしまうつもりでいますので、そうしたらまた雑感でも書こうと思っています。
と、今回はこのようなところで。
by Kidar
| 2007-02-27 16:30
| ライトノベル