2006年 08月 30日
真月譚月姫 第4巻
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美麗かつ躍動感溢れる作画でおなじみの佐々木少年氏が描く、TYPE-MOON製作のノベルゲーム「月姫」のコミック版、その第4巻です。
第3巻は昨年末頃に発売されたようですから、約9ヶ月ぶりという事になります。月刊誌への連載作品としては順当なところと申せましょう。
秋葉とシエル先輩の戦いは、あった事を匂わせる程度の描写なのかと予想していましたら、これ以上ないほどしっかりと描かれていて、少し驚きました。嬉しい誤算というやつです。
秋葉が格好良いのは、彼女が「志貴を守る」という1点においてのみ、一切の迷いを抱いていないからです。彼女の行動理念はごくシンプルで、突き詰めれば「志貴のため」というただ1点に集約されます。シンプルなものほど強く、そして美しいのです。
シエル先輩が強いのは、背負うものの大きさ故でしょう。
持って生まれた身体能力や、魔術への高い適正、更には後天的に得た再生能力など、異端狩りのエキスパートたる埋葬機関の一員として申し分のない能力を持つ彼女ですが、真に強者たらしめているのは、その内に抱えた1つの目的の存在です。そして、その目的を抱くに至った原因こそが、彼女に弱くある事を決して許さないのです。
シエル先輩の黒鍵は、並の吸血鬼なら1本で数匹殺せると何処かで目にした覚えがありますが、鉄甲作用を付加させたそれは、相手が吸血鬼であろうとなかろうと関係ないのではと思わされるほどに強力です。加えて火葬式典のおまけが付き、更にはそれを全身に100本ほど装備しているのですから、「弓」の2つ名で呼ばれるのも納得と申せましょう。
秋葉の能力は視覚に頼るところが大きいですが、裏を返せばそれは「視覚の及ぶ範囲でなら無敵に近い」という事でもあります。スタミナの問題もありますから一概には申せませんが、仮に秋葉が本気になれば、シエル先輩自らが指摘したように、彼女を圧倒する事も恐らくは可能だったのでしょう。
こと本巻に限っては、他に見どころが多数あるのにもかかわらず、秋葉とシエル先輩との戦いに目がいってしまいがちです。確か原作では描写されていないエピソードだったと思いますから、それで新鮮に感じているというところもあるのかもしれません。
少しずつ動いていく志貴とアルクェイドとの関係など、他に注目すべき箇所を数え上げればきりがありません。流れを見るに、終わるまでにはあと2巻分ほどは最低でも必要になりそうですから、早ければ来年中、遅ければプラス1年ほどで完結をみる事ができるでしょう。
ですが、こうまで良いとストレートに終わってしまうのは何かもったいないという気がします。完結までが多少伸びたとしても、本巻のようにオリジナルのエピソードを挿みつつ、のんびりとやって欲しいと個人的には思います。
余談ですが、ここまでの表紙はアルクェイド(第1巻)、シエル先輩(第2巻)、秋葉(第3巻)、翡翠and琥珀(第4巻)ときています。となりますと、気になるのは次巻以降の表紙を飾るキャラクターですが、候補としては先生と志貴、そして弓塚さつき嬢の3名が該当しそうです。
志貴はともかく、先生は可能性としては薄そうですが、それ以上に問題なのは「さっちんが表紙を飾る事が果たしてあり得るのか」という事です。あってもおかしくないとは思うのですが、そのためには彼女を主役としたオリジナルのストーリーを作品内に盛り込む事が必須となるようにも思えます。
アルクェイドが再度使われたりといった事も普通にありそうですから、さっちんの台頭は難しいかもしれませんが、何とか成して欲しいと願わずにはいられません。
by kidar
| 2006-08-30 01:30
| 漫画